2010年10月24日

「ザ・ロード」。

興味があったので、ヴィゴ・モーテンセン(ファン! 速やかに「イースタン・プロミス」の続編を作りやがれ!)主演の「ザ・ロード」を映画館に観に行く。

久しぶりの劇場映画鑑賞IN下高井戸シネマ。


突然の地球崩壊により文明と動植物の死滅した、ドンヨリ雲と廃墟の冷たい灰色の世界となった近未来を舞台に、少しでも南を目指してボロボロのショッピングカートを押して進む、父と息子のロード・ムービーだ。

リアル‘北斗の拳’はどうなるのかというと、動植物の一切いない世界で、‘人間’が貴重なタンパク源である‘人間’を狩り、保存のため生きたまま地下室に閉じ込め少しづつ食べていくという、これ以上にない地獄のような世界。

はっきり言って北斗の拳ではまだ、ラオウやサウザーのような強烈なカリスマが、例え圧政を強いてたにしても、暴徒と化したモヒカン野郎なんかを束ねてただけ秩序があって、この世界よりまだマシだった。(ケンシロウという救世主がいるので、はなっから比較できんが)

本当の混沌とは、ホラーよりも恐怖の連続が続く無間地獄だ。

こんな世界になってしまったら、間違い無く自殺を選ぶ。

実際、本編中も自殺者の描写が幾つか出てくる。


そんな、もはや地球とは呼べない過酷な世界で、なんとか次世代である息子に道徳や倫理、人間の魂の尊厳を伝えようと奮起する主人公である父親の様は、人類最大の罰ゲームを敢行する姿であり、予めゴルゴタの丘に磔にされることが決まっていながらも重い十字架を背負い、荒廃した世界を練り歩くキリストのようだ。

妻は、こんな世界に子どもを産み落としてしまった罪悪感と絶望から、この世から消えた。

例え暴徒でなくても、恐怖から人々は傷つけ合う。

おそらく原作にはもっとエグい描写があったと思う。

朽ち果てた自動販売機からゲットした、古びた缶ジュースに一喜一憂する親子。

こんな世界は、「ウォーター・ワールド」のケビン・コスナー並に環境に特化した‘新人類’(コスナー演じる主人公には、陸の沈んでしまった海の世界の近未来で、エラと水かきを持つ進化した人類だった)でなきゃ無理ですわ。


しかも荒廃した世界しか知らない息子に対して、父親は崩壊前の文明の、しかも超先進国のアメリカでの甘美な思い出があるから性質が悪い。

夜な夜なハリウッド女優の中でもトップクラスの美貌を持つ、シャーリーズ・セロン演じる亡き妻が現れるから堪らない。

昔の美しい思い出は、今の自分の境遇をより辛いものに感じさせる‘悪夢’でしかない。

何故こんな映画を映画館に観に行ってしまったのか、観てる自分のドM体質を呪うばかりだ。

間違ってお父さんが息子との絆を深めようと、このSF映画というジャンルでは括れない今作を子どもと観に来てしまったら、間違い無く両者にトラウマを植え付けるだろう。

ただ、そのトラウマから生まれるものは、ネガティブなものではないかもしれないが。


これを観て子どもの頃、母親とテレビで放送した核で文明が滅んだ後の世界を描いた、マイナー外国映画を思い出した。(核による放射能汚染のことがちゃんと描かれてたから、ハリウッド映画じゃないかも)

人類は食料や燃料の確保に躍起になり、電池を大量確保している電気屋の地味な息子が悪党に豹変する。

まず年端のいかない子ども達が病気などで死んでいく。

しかし最後にはキリスト教圏らしく、それでも私達は祈るのだ、明日を信じて…的な感じで物語が終わる。

時はまさに米ソ冷戦時代。

マジでヤバいことになる可能性が無きにしもあり得る時代で、強烈なインパクトがあった。


一応、同じ原作者で希望もへったくれも無え!の「ノー・カントリー」と比べると、最後はほんの少し希望のあるラストだが、本当にこの世界に特化した、僅かな水分や土とか木の皮とかで栄養の取れる新人類が生まれん限り、人類の復興は無いと思いました。

ちなみに「ハートロッカー」の時のように、ガイ・ピアースが頼もしそうな役でポイント出演してます。

ロバート・デュバルに至っては、言われなきゃ判別できない…。(皆、ホームレス以上に顔が汚れてるから)

なんだかんだ、かなり心に残る映画だったので、劇場に観に行ってよかったです。
posted by たいき at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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